摂食嚥下リハビリテーションについて
おいしく食事をするためには噛むことに加え、嚥下機能も大切です
病気や加齢により食事がうまく飲み込めなくなった方々へ、口腔ケアに加え、検査やよりよい食事環境となることを目的としたリハビリテーションのご提案などを行なっています。
こんな症状はありませんか?
- 食事中によくむせる
- 食事後によくむせる
- うまく飲み込みができない
- 口の中に食べ物が残る
- よく発熱する(誤嚥性肺炎の疑い)
このような症状がみられる場合、摂食嚥下機能の低下が疑われます。
当院では、スクリーニング検査及びVE検査を実施し、そのデータをもとに、リハビリ計画を提案いたします。
摂食嚥下とは?
摂食嚥下とは、食物をお口の中に入れて咀しゃくする「摂食」と、飲み込む行為「嚥下(えんげ)」の一連の動作を表す言葉。高齢になり筋力が落ちたり、認知症などで「食べる」ことが適切に行うことが難しくなった場合に、「摂食嚥下障害」が生じることがあります。
摂食嚥下障害を起こすと
- 飲食ができないことにより栄養状態が低下する低栄養や脱水を引き起こす
- 食べ物が気道に入ることによる誤嚥性肺炎を発症する
- "食べる楽しみ"を失ってしまうことで、QOL(Quality Of Life:=生活の質)が低下する
嚥下内視鏡検査(VE)
鼻から約3mmの内視鏡(カメラ)を挿入し検査を行います。嚥下内視鏡は持ち運びができるため、訪問歯科診療でも検査が可能です。
内視鏡で喉を観察しながら食物を摂取していただき、誤嚥の有無などを確認します。誤嚥の程度に応じて食形態を変える(例えば固形食をきざみ食にする、とろみをつける)なども、嚥下内視鏡を見ながらご家族や施設の方に指導できます。
嚥下内視鏡検査(VE)は、あくまでお口の中で咀しゃくされた食べ物の流れや唾液による汚れ具合を観察し、食べる機能が姿勢や食べ方などによってどのように変化するかを検討する検査です。 咽頭や喉頭の器質的疾患等の診断については、耳鼻咽喉科など医科への受診が必要となります。
嚥下内視鏡検査(VE)のメリット
- 嚥下内視鏡検査は、喉の中を直接診ることができるので、嚥下機能の診断が容易です。
また在宅や施設で、普段の食事で検査を行うので、日常生活に即した評価がしやすいメリットもあります。 - 患者さんに適した食事姿勢を決めることができます。嚥下機能が低下している方は、姿勢を変えると食べやすくなるケースがあります。実際にお食事されている場所で、リクライニング角度を調節できるのもメリットです。
- 嚥下内視鏡の検査では、映像を医療者だけでなく、介護を担当する方にも見ていただけるメリットがあります。安全な食事や介助の方法について、医学的根拠を示すことができます。
- 嚥下内視鏡検査の機材を備えた歯科医師の訪問診療では、病院に行くことができない高齢者の方の検査でも、患者さんのご自宅で検査をすることが可能です。
嚥下内視鏡検査を歯科医師が行う理由
誤嚥は喉が原因で起きていると思われがちですが、実際は口腔内の他の部分の状態が悪かったり、お口が整っていないことが原因であることも少なくありません。それを見逃して喉ばかりを診てしまうと、なかなか治りません。
「お口を整える」と「嚥下機能を向上させる」ことは密接な関係があり、そこに口の専門家である歯科医師が行う「理由」があるのです。
評価の流れ
スクリーニング検査
摂食嚥下機能のスクリーニングテストを行います。
VE検査・ミールラウンド
スクリーニングテストで要精密検査になった場合、歯科医師が嚥下内視鏡検査を行います。
専門医と協議・計画のご提案
結果をもとに専門医と協議し、リハビリの計画や食形態など、ご提案します。
リハビリ・食事指導
口腔ケアプランを計画立案し、目標を立ててリハビリを行います。
また、食形態も含めた食事指導なども行います。
摂食嚥下リハビリテーション
摂食嚥下リハビリテーションの内容は患者さんにより異なります。肺炎や窒息などのリスクへの注意と、患者さんの食べる楽しみやご家族の方のご要望などを十分に考慮して行います。
- 口腔ケア:お口の清掃、衛生管理をします。お口の状態の確認や誤嚥性肺炎の予防を図ります。
- 間接的練習:食べ物を用いない練習です。口の体操や、呼吸・発声などを行います。
- 直接的練習:直接食べ物を用いて、実際に食べたり飲んだりする練習を行います。
摂食嚥下リハビリテーションのよくある質問
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「摂食嚥下リハビリ」はどんなことをするのですか?
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摂食嚥下リハビリテーション(摂食機能療法)の内容の概要は以下の通りです。
- 食べることでお困りのこと(どんなささいなことでも)について、ご家族や施設の皆さまなどと話し合いながら、必要な場合には他の機関と連携をしながら相談に対応いたします。
- 食べる機能(摂食嚥下機能)の診断をします。
食べ方・飲み方がうまくできない機能状態について、舌・顎・口唇・咽頭など個々の気管の動きやそれらの協調した動きについて姿勢を変えるなどをして診断を行います。 - 診断に基づいて、以下のようなリハビリテーションプログラム(訓練指導)を立てます。
- 食べる機能に必要な筋肉に対して筋訓練
- 飲み込む反射を促す刺激訓練やむせ、誤嚥(ごえん)を防ぐ、食事姿勢などの訓練指導
- 患者さんの食べ方、介助者の患者さんへの介助方法の指導
- 食べる機能の状態に適した食事の調理形態やトロミ使用による再調理の指導
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「摂食嚥下リハビリ」の対象者は?
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外来での摂食嚥下リハビリ(摂食機能療法)対象患者さんは以下の通りです。
- 赤ちゃん・お子様・就学期の児童生徒・大人の方・高齢の方、年齢は問いません。
- チューブ(経管)や胃ろうから栄養・水分を摂っている方
- 生まれつきの病気(脳性まひ・ダウン症など)で食べることが困難な方
- 脳卒中・パーキンソン病・認知症などで食べることが困難な方
- 食べるとむせることが多い方
- よく噛まない、丸のみしている、食べるのが遅い、などの食べ方に問題がある方
- 離乳食の食べさせ方・離乳食の食形態、使うスプーン・フォーク・お箸の形や使用時期、極端な偏食等でお悩みの乳幼児の保護者の方。
- 赤ちゃん・お子様・就学期の児童生徒・大人の方・高齢の方、年齢は問いません。
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診療費用について教えてください。
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原因となる病気がある場合の診療費は「保険診療」になります。
実際に食べる様子を診せていただき、飲み込む機能のどの部分が困難になっているのか診断いたします。
そして、いまできることを伸ばし、さらに食べ物を用いない間接訓練や食事環境の整備などを進めていきます。
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口腔内のお悩みやお口のことで気になることがあれば、
北区役所近くの歯医者さん「大宮デンタルクリニック」にご相談ください。
当院では「患者さんへのご負担が少ない治療」を心掛けています。